あのラボ

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太陽と月の部屋
Art workInstallationInteractiveKinetic

太陽と月の部屋

2020 ~
00:07:36
大分県豊後高田市に設立された「不均質な自然と人の美術館」にある、自然と触れ合い身体性を拡張することをテーマにつくられたインタラクティブアートのひとつ。 本作は訪れる人が太陽の光と戯れることができる部屋をコンセプトにしている。来場者が部屋の中を歩くと天井の小窓が自動で開閉し体が光に包まれるとともに、足元の日だまりが小窓の開閉によって月が満ち欠けするように形を変えていく。鑑賞者の立ち位置はセンサーで検知され、太陽の方角にある小窓だけが開口。また、室内は気象庁の天候情報を解析し、その時々で最適な演出になるよう調整され、晴れの日には部屋の中に靄がかかり、足元に降り注ぐ光芒を見ることができる。加えて、小窓が開くタイミングでピアノの音が鳴り、部屋の中を歩くことでピアノ曲が演奏される。 本作においてそのテクノロジーは直接提示されず、あくまで太陽の光を切り取って鑑賞者の肌の上に直接届け、自然を感じさせるために用いられる。人工的な光ではなく自然光を鑑賞者に届けることで、視覚のみならず光が持つ温もりをも感じさせ、体験する者の感覚と意識を研ぎ澄ませるように設計された。
時空間のしっぽ
Art workInstallationInteractive

時空間のしっぽ

2014
00:03:01
《時空間のしっぽ》は、時空間という概念を体験するためのアート作品として制作されました。 ミンコフスキーの光円錐によって、私達は常に光の速度で未来へ広がる可能性の地平を­見つめながら現地点に存在しています。作品の空間の中央に置かれた『時空間のしっぽ』に触れると、時空間という概念において、自分がどのように現在の地点へ到達したのか、その軌跡を見ることができます。 空間は前方に置かれたセンサによって3次元スキャンされており、過去と現在の空間の位置を比較することで、まるで過去の自分が現在の自分と同じ空間内に存在するかのように見える映像をリアルタイムに生成しています。 映像演出による時空間の操作は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を始めとするSF映画や、ドラえもんなどの漫画、あるいはノーマン・マクラーレン「Canon」、ズビグニュー・リプチンスキー「Tango」、ミシェル・ゴンドリーによるカイリー・ミノーグのMV「Come Into My World」といった実験映像によって実現されてきました。ただ、それが実際に「どんな体験なのか」は今まで空想するしかありませんでした。 人は空想をすることで、現実の世界を新しい形で捉え、変えていくことができます。時空間という概念は非常に新しい概念ですが、この概念の登場よって私達の世界の捉え方も大きく変わってきました。《時空間のしっぽ》はまだ映像の中での体験ですが、今後技術の発展とともに、それが実空間に飛び出すことも遠くないのではないかと思います。時空間を肌で体験することができる先には、どのような世界が広がっているのか、楽しみです。
ミミクリーの小部屋
3DCGArt workInstallationInteractive

ミミクリーの小部屋

2019
00:01:11
名作「不思議の国のアリス」のためのインスタレーション制作の委嘱を受け、物語の中の不思議な世界に入り込んだような体験ができる空間を作りたい、と考えました。 アリスが体験する様々な常識では考えられないような出来事は、不思議であると同時に、私達が幼い頃に空想していた、「こうなったら良いな」「こうなったらどうしよう」といったワクワク・ドキドキする知的好奇心に満ちています。 インスタレーション制作にあたって数々の「こうなったら良いな」を書き出して沢山の案を出しあって、最終的に決定したのは、美しいジョン・テニエルの挿絵が自分に反応して動き出す、という案でした。 2.5m四方の小さな部屋は、「アリスの世界とつながるための特別な場所」としてデザインしました。 部屋の壁に掛けられた14個の額縁の中にはiPadが収められていて、それぞれアリスの物語に登場するキャラクター達が描かれています。キャラクター達はジョン・テニエルの原画を参考にして3Dモデルデータを作成し、シェーダプログラミングによって、まるでハッチングの手法で描かれた絵画に見えるようにリアルタイム画像処理を行っており、一見すると通常の絵画が並んでいるように見えます。 部屋の中央の絨毯の上に人が立つと、立つ人のポーズをKinect v2センサーが検知し、全ての額縁の中のキャラクターがゆっくりと動きだして立つ人のポーズを「真似」します。 アリスの世界に溢れている遊び心は、現在の私達の暮らし方、働き方における示唆を多く含んでいます。オランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガは「遊戯」が人間活動の本質であり、文化を生み出す根源であると説きました。フランスの哲学者ロジェ・カイヨワはその人間観を発展させ、「真似」を意味するミミクリーを遊びにおける四大要素の一つに挙げ、特に原始的な社会において重大な役割を担っていたとしています。また、小林秀雄は『モオツァルト』の中でモーツァルトが模倣の天才であり、その独創的な音楽は模倣の中から生まれたものであったと指摘しています。 私達は遊びから多くのことを発見し、文化を発展させていくことができます。 多くの人がアリスの物語や本展示を通して、日常をより遊びで満たしていくことの大切さを感じとって貰えれば、と思いながら制作しました。

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